仕入れを左右する仲買人たちの目利き
品質を見極める目利き
気仙沼港、朝の6時。入札が行われる魚市場には、気仙沼の水産加工業者の仲買人たちが、鋭い眼光でサメの魚体をひとつひとつ見回って確認していきます。おじいさんの代から数えて3代目という仲買人は、「毎回が真剣勝負」と話します。加工場ですり身にしてメーカーなどのお客さまに卸すにも、大切なのは品質の安定化。常に一定レベルの品質のヨシキリザメを確保することが、仲買人の腕の(目の)見せ所です。鮮度や品質、サメの価値を見極めるには、サメ肉の魚体やヒレの大きさを見るのはもちろん、肉質や色合い、サメの体表のツヤなど、さまざまに確認していきます。最後は、長年の経験とカン。漁業を営む人たちと、それを預かる仲買人との真剣勝負の場でもあります。
気仙沼市魚市場では、6時半から7時にかけて入札が始まります。気仙沼での買い付けは競り(セリ:オークション形式)ではなく、「入札価格を申告して待つ」という方式です。そのため価格によっては全く買えないこともあり、入札が始まる前の仲買人たちのたわいのない会話の中にも情報戦が繰り広げられていることも。またこの入札の様子は、一般の方も見学ができるようになっており、2階部分に長さ350mもの見学デッキが設けられています。市場の雰囲気を体感すれば、サメへの愛も芽生えてくるはず。
無事入札が終わったサメは、ヒレの部分はフカヒレ加工品に、サメ肉はすり身となってかまぼこやはんぺんなどの練り物製品に。軟骨はパウダーにしてサプリなどに使われるなど、各部位の特長を活かしてすべて有効活用されていきます。
気仙沼市魚市場の入札の仕組み
気仙沼市魚市場では、仲買人たちがサメを始めとして、カツオやマグロ、メカジキ、サンマなどを目利きした後、その入札金額を所定のポストに投函します。入札金額が高い業者に落札され、その様子は電光掲示板に映し出されます。セリのように、大きな声は飛び交いませんが、静かながらも心に秘める熱気が漂います。